植物よりも、10倍以上効率よく光合成できる技術が開発される。
たまには真面目に研究の紹介でもしてみたい。
最近、人口の葉っぱとバクテリアを利用して、太陽光から液体燃料を生み出す技術がSienceという論文に載りました。
知名度が高いScienceやNatureは商業誌なので、こういう論文が載りそうだなあと感じます。
もちろん、研究自体もきちんとしているのが前提ですよ。
この研究は、人工光合成の草分け的存在であるハーバード大学エネルギー科学のダニエル・ノセラ教授によるものらしい。
人工葉には特殊な光触媒が使われており、太陽光を当てることで水を水素と酸素に分解する。
原理の方は話が難しいし、僕も説明できる自信がないです笑
なので、原文のリンクだけ貼っておきます。
この研究の凄さをざっくりまとめたいと思う。
植物よりも高い効率の良さ
実際の植物が光合成を行った場合に、太陽光から変換されるエネルギーは何パーセントなのでしょうか?
Numerous energy conversion bottlenecks in natural systems limit the overall efficiency of photosynthesis. Most plants do not exceed 1%
実は1%程度。
では、今回行われた実験のエネルギー変換効率はいくらなのか?
eutropha hybrid system can achieve hSCE = 9.7% for biomass, 7.6% for bioplastic, and 7.1% for fusel alcohols.
9.7%のバイオマスの生成に成功したとあるので、約10倍!!
人口的に、ここまで効率よくエネルギーを生み出せるのはすごいの一言。
ただし、この変換効率には条件が付いてます。
その条件とは、
純粋な二酸化炭素を使った場合。
空気中の二酸化炭素濃度は5%程度なので、実際はもう少し効率が下がる。
その場合は3~4%に留まるようです。
それでも十分、効率が良いですけどね。
液体燃料として保存ができる。
これがかなり大きいと思います。
光合成を効率よく行えても、そこからどのような形でエネルギーが保存されるのか?ということは非常に重要な問題。
eutropha hybrid system can achieve hSCE = 9.7% for biomass, 7.6% for bioplastic, and 7.1% for fusel alcohols.
さっきも引用したところだけど、違う部分に着目。
7.1%の変換効率で、液体燃料のアルコールとして保存ができる!!
液体として保存ができれば、安定な状態で輸送もできます。
ただし、生成されたアルコール燃料を燃焼させると、二酸化炭素が空気中に放出されるので、温暖化問題の解決になるわけではないとのこと。
既存の発電システムに比べてエネルギー効率が高いわけではないが、
人工葉は太陽光さえあれば、汚水や尿などからも水素を取り出すことができる。
エネルギー問題は、ITがいくら発展しても避けられない問題だと思ってました。
なので、しばらくは原子力に依存せざるを得ないのかな?と考えてました。
この本の影響が大きいですが。
個人的に、原発の問題で一番納得がいった本。
日本の電力を原子力なしで賄う場合に、どれだけの費用がさらに掛かるのか。
そういった数字等に着目して議論が行われているので、読みやすいと思う。
いつまでも石油に頼ることはできませんからね。
これまでは、代替エネルギーの変換効率の低さも問題だった。
なので、どんどんこのような研究が実用化されて欲しいなーと思う。