男の本能を明け透けに描いた「すべての男は消耗品である VOL.1」
読み終わったけど、アウトプットしてない本が溜まっているこの頃。
そして今回は、読んでいる途中だけど書いておきたいと思える本に出会った。
それがこちら。
すべての男は消耗品である。VOL.1?VOL.13: 1984年8月?2013年9月 連載30周年記念・完全版
- 作者: 村上龍
- 出版社/メーカー: 村上龍電子本製作所/G2010
- 発売日: 2014/06/16
- メディア: Kindle版
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正直、タイトルに惹かれたところはある。
同じ男として、どういう趣旨で消耗品だと考えたのか?
あとはUnlimitedで読める本だったのも大きいね。
正直、ここに書くべき内容なのか迷った。
その痛快さがすごく良い。個人的にはね。
扱いにくい、言葉にすれば叩かれるであろう内容も、ちゃんと言葉にしようとする作者の怒り、苛立ちを感じ取れる。
その語り口が軽妙で、コミカルで、暗い題材もあっさりと切り捨てる。
好き嫌いが別れる本だと確信してます。
特に、女性だと嫌いになる人が多いでしょう。
それぐらい、歯に着せぬ物言いが多い。
そして、居酒屋トーク並みに話題がコロコロ変わって、イライラする人も多いはず。
これが、プロの小説家が書くエッセイなのかと。
だけど、その中にハッとするような内容が紛れ込んでいるように僕は感じる。
まだVOL.1を読み終えたところだけど、短い小説2冊分ぐらい。
ずっと続きそうなテーマは、男が消耗品、女にはかなわない、父性、セックス等かな。
VOL.1 1984年8月~87年6月バブル前夜
04セックスに必要なものは体力だ、愛じゃない
愛は、親近感や自己犠牲や独占・所有の混じり合ったものだ。そして、実はセックスの本質とは、親近感・自己犠牲・独占・所有といったことから、逆に最も遠い存在なのである。
そんなのどうでもいいわ、というのがセックスだ。
だから愛はセックスそのものにとって、負の要因として作用する。
誤解するなよ。だから愛のあるセックスの方がよく燃えるのだ。愛が一瞬裏返るからである。
愛とかセックスについて、こんなにクソまじめに言語化してこなかったので、思わず唸ってしまった。
今の自分には受け入れることしかできない。
自分なりに答える術を持とうとしなかったから。
これからしばらく付き合っていくテーマなので、頭に入れておきたい言葉。
いつか自分なりに言語化したい。
09女にはたくさんの男とセックスするという義務がない、うらやましい
欲望の実現には、多量のエネルギーが必要である。オレとしては、神をうらむ。いい女をいっぱい持っていても、他のいい女とやりたくなるという因果な欲望を男に備えさせた神をうらむ。
一人の女でずっと満足できたら、本当にどれほど楽かわからない。
だが、そうはいかの金玉なのだ。
種の保存本能は、男が一人の女で満足することを許さない。
この章タイトル、そしてこの文章。
村上氏のモテ自慢と言われれば、それまでなんですけどね。。
結婚制度は強力だが、それ自体には価値も意味もない。
親しくなりすぎると性衝動はなくなる。それは、性衝動に攻撃本能が含まれるからだ。
女達には、攻撃本能をかきたてるような美しさを維持して貰いたい。
毅然としていて欲しい。
男が浮気するのは生物学的なものが大きいと思っていたけど、なぜ結婚するとマンネリに陥ってしまうのか。
今までは単純に、飽きのせいかな?と考えてた。
性衝動に攻撃本能が含まれていること。
これはすごい新鮮な視点でした。僕には。
それが長い結婚生活で、親近感の方が攻撃本能を上回る。
マンネリに陥るのは寂しいかもしれないけど、そういう対象にお互いなったと考える方が、飽きたというより素敵じゃない?
結婚する相手もいないし、したこともないのに何言ってんだか。
10最良の情婦は金ではなくプライドを要求する
例えば、新大久保のガード下で立ちんぼの高校生売春婦を口説き、3000円ほど出してただその辺の喫茶店でお話するだけの悲しいおじさんは、カスのようなロマンを求めているのではなく、下水のあぶくのようにあやういプライドをつなぎとめようとしているのだ。
またしてもすごい文章だけど、もう少し引用。
プライドを得る場所が減っていき、失う場所ばかりが増えていく。
だが、プライドだけがドラマを作ってくれるのだ。また、絶望した時に発狂から救ってくれるのは、友人でもカウンセラーでもなく、プライドである。プライドを保とうとした、自分の思い出だけが頼りとなる。
これを読んで思い浮かべたのが、なぜキャバクラにハマる人がいるのか?
それと強く関連してると思う部分を引用したい。
なぜ、男は女を求めるのか?性欲があるから、ではない。純粋な性欲はもはや人類にはない。
オレがずっとロマンと呼んできたものは、実は、自己確認のことだ。
自分が自分であることの確認だ。
なぜ、おじさんが高校生売春婦を口説くのか。
なぜ、キャバクラにハマる人がいるのか。
村上氏の言葉を借りると、
男にとって、若い、美しい女性に受け入れられること以上に、プライドが満たせれることがないから。
たとえ金銭による、一時的な関係だったとしても。
少しでもプライドを補充された自分を確認できれば、また明日がんばれる。
楽しいからハマるんだろうけど、男の本能的なシステムをくすぐってるんだろうな。
いろんなものをぶち込み過ぎてしまった気がする。
正直、これでも気を使って書いた方なんですけどね。
他にももっと、明け透けな内容が満載なので。
これがあと12回も続くのかと思うと、ブログにまとめるのが疲れそう。笑
村上氏の論調が変化していくのかどうかが楽しみ。