外国人にも映像作品が見られているので、今さら「火花」を読んでみた。
うーむ、2日連続で本の紹介になってしまった。
そしてちょっと書きすぎた。。
今年の直木賞が発表になりましたね。
そんななか、去年の芥川賞受賞作「火花」を読んでおります。
今さら感は気にしたら負けってやつ。
今になって、手を出そうと思った理由から書いていきたい。
映像として、世界で見られている「火花」
この作品を読もうと思ったきっかけは、Netflixの記事でした。
Netflixは、有料で映画やテレビ番組のストリーミング配信をしてるところ。
日本ではTSUTAYAやゲオが至る所にあるし、民放が無料。
だから「お金を払ってテレビを見る」という概念が弱く、馴染みがないかもしれませんね。WOWOWとかに近いのかな。
そのNetflixと日本の吉本興業が手を組んで、火花を10回に分けて放映した。
*有料記事なので、見れない人が多いはずm(__)m
そしてそれが世界中の人々に見られているんです!
日本の文学作品がですよ?
しかも話題はお笑い芸人。
これって凄くないですか?
ワンピースやナルト等の漫画やアニメではなく、
座頭市のように、刀を使って敵を切り倒すアクション映画でもない。
コントの翻訳はどうなってるんだろう?
何が外国人を引き付けているんだろう?
と純粋に興味が出てきたのが、まずは原作を読もうと思った理由。
あえて苦手なものに手を出してみる。
「文学作品」という括りをされると読む気が失せる人もいるかもしれない。
僕自身がそうでした。
去年、話題になったのに読まなかったのはそのせいでもある。
高校生の時に、めっちゃ尊敬してた友人が文学作品をよく読んでた。
それで、文学作品読めたらカッコいいなーとか思って、とりあえずドストエフスキーに手を出した。
我ながら思考が単純すぎる。笑
これがいけなかったですね。
正直、おもしろさの欠片も感じなかった。
え、なにこれ、文学作品ってこんなにつまんないの?( めちゃくちゃ失礼 )
っていう印象だけが強く残りましたね。
良かったのは、電車内ではぐっすり眠るのに役立ったことぐらいかな笑
そもそも文学作品に、ワクワクとかを期待するのが間違ってて、
世に溢れる何気ない日常を切り取って、描き切るのが文学作品だと思う。
ずっと避けていたから読んでみよう、そう思ったのも手を出した理由ですね。
ここからネタバレを多く含みます。
特にここから2つ目は酷いです。
それでも良い方はスクロールを。
含蓄に溢れる、神谷さんのセリフ。
火花は、主人公の徳永と先輩芸人の神谷さんが中心の物語。
この2人は違うコンビで、事務所も別々。
だけど、冒頭での出会いから、物語の最後まで仲良くしてる。
そんな神谷さんのセリフが、するめのごとく、いい味をしてます。
ネタばれを含むけど、いくつか紹介していきたい。
ファッションの個性についての会話で出てきたセリフ。
自分とはこうあるべきやと思って、その規範に基づいて生きてる奴って、結局は自分のモノマネをやってもうねんねやろ?だから俺はキャラっていうのに抵抗があんねん。
これって、よく考えてみると良いこと言ってるなあと思う。
なにも服の個性に限った話じゃない気がする。
例えば、お医者さんの家庭に育って医者を志す。素晴らしいことだと思う。
だけど、家族が医者だから自分も医者になるべきだ、と思っているのか?
それとも、それとは関係なく医者になりたいと思っているのか?
自分の言動が、周りの期待や空気に流されたものになっていないか?
それは本当の自分じゃなくて、ピエロのごとく道化ているだけだ。
そんなことにも通じるかな?と僕は思いました。
ネットの誹謗中傷も会話のタネになりました。
人を傷つける行為ってな、一瞬は溜飲が下がるねん。でも一瞬だけやねん。そこに安住してる間は、自分の状況はいいように変化することはないやん。他を落とすことによって、今の自分で安心するという、やり方やからな。その間、ずっと自分が成長する機会を失い続けてると思うねん。
昔から話題にされてきたのは言うまでもないですね。
正直、中傷するのは簡単だと思う。
揚げ足を取るように、穴を見つければいいだけですから。
その人は「批判しているだけだ」というかもしれない。
相手の言い分の問題点を言及する、という点は確かにそう。
だけど決定的な違いがある。
ちなみに辞書を紐解くと、批判の1つの意味として
人の言動・仕事などの誤りや欠点を指摘し、正すべきであるとして論じること。
というのがある。
やっぱり欠かせないのが後半ですよね。
批判をするなら、必ず代案を出すこと。
さらに個人的に意識しているのが、感情的になり過ぎないこと。
この2つを満たしたものが批判であると、僕は思う。
批判すれば、相手からも批判を受ける可能性がある。
だって、自分の考えを示さないと批判できないから。
これが「安住してる間は成長できない」という発言に繋がる気がする。
現実のままならなさと格闘した主人公。
もう最後の方は泣いてました。
男だけどすぐ泣いちゃうんですよね。笑
僕達はきちんと恐怖を感じていた。親が年を重ねることを、恋人が年を重ねることを、全てが間に合わなくなることを、心底恐れていた。自らの意思で夢を終わらせることを、本気で恐れていた。
個人的には、このセリフが痛いほど突き刺さる。
結局、このあと解散ライブが行われます。
人によっては無謀にも見える挑戦を主人公は終える訳ですが、そこからのセリフが本当に良かった。
引用だけで150字ほどなので書きませんが。
失敗することを恐れる人にはぜひ、確かめて欲しい。
輝かしく活躍するお笑い芸人の影で、消えていった大勢の人たち。
彼ら彼女らを描けるのは、それを傍目に見てきた芸人にしかできない。
そういった意味でも又吉さんの特色が出て、とてもよかったと思う。
読み終わった後に、NetFlixをチェックしたんですけどね。
なぜか今のネット環境だと見れない!!
せっかく原作読んだのに、、なんでや笑