ガースー日記

笑ってはいけないネタに惹かれて、昔は黒光り日記、というブログ名でやってました。(大学生のノリでした..)

5,6年以上前に読んでもなお、記憶が色褪せない小説を5冊紹介してみる。

最近、久しぶりに小説を読んでます。

drizzlyrain.hatenablog.com

本をたくさん読んでみると、いつまでも自分のなかに残る本ってあると思うんですよね。

なので、僕のなかで記憶が色褪せない本を紹介してみたい。

 

一番古くて、中学生だった15歳ぐらいのときに読んだ本。 

読んだのはもう十年ぐらい前なのに、未だにうっすらと思い出せる。

若い頃の記憶力ってすごいなあと思うこの頃。

 

映画化したものもあるので、知ってる本も多いかもしれません。

 

手紙 東野圭吾

おそらく一番ベタな本を最初に挙げてみる。

僕は加賀恭一郎シリーズも、ガリレオシリーズも全て持ってましたね。

ベタベタの東野圭吾ファンです。笑

 

そのなかで一番好きな本は何か?と聞かれれば、

迷うことなく「手紙」を挙げます。

どっちのシリーズでもないけど。

手紙 (文春文庫)

手紙 (文春文庫)

 

東野さんと言えば推理小説

物語の展開が凄いですよね。

「聖女の救済」などは印象的で何度読み直したことか。

そういったハラハラする物語の展開具合も好きだけど。

 

それ以上に、主人公の葛藤する描写が心に刺さることが多い。

「手紙」が一番好きなのはそれが理由。

 

主人公(弟)のために犯罪を起こした兄。

塀の向こう側からやってくる手紙。

「身内に犯罪者がいる」という事実に翻弄される主人公。

兄弟の絆、罪に向き合うこと、葛藤。

そして、初めて書く兄への手紙

 

通学中に、電車内で本を読むのが習慣でした。

泣きそうになって、何度読むのを止めたか分からない。

結局最後は我慢しきれず、ボロボロ号泣した一冊。

 

鹿男あをによし 万城目学

買ってる本の数なら東野さんがダントツですね。

だけど、一番好きな作者さんは万城目さん。

鹿男あをによし」は、初めて手にした万城目さんの本でした。

鹿男あをによし (幻冬舎文庫)

鹿男あをによし (幻冬舎文庫)

 

万城目ワールドと言われる、独特な世界の虜になった一冊。

 

軽く立ち読みしたときは、驚いたなあ。

まず設定が意味わかんないですからね。

 

鹿がしゃべるとか、自分の顔が鹿に見えるとか。

クスッと笑えて、こちらが心配してしまう設定を根幹に持ってくる。

それでいて、青春チックな爽やかな物語が展開していくのだから、続きが気になってしょうがない。

 

テンポよく、さくさく読めて面白い本であること間違いなし。

鴨川ホルモー」も大好きです。

 

空の中 有川浩

かなり長い間、有川さんのことを男性だと勘違いしてました。

 

自己紹介する際に、好きな作者は有川ひろしさんって言っちゃって。

先輩が「それ有川ひろじゃね?」って言われて恥ずかしかったなあ。

好きな作者の名前を間違えるとか、にわかじゃないですか。笑

 

有川さんと言えば「図書館戦争」でかなり有名になりましたね。

「レインツリーの国」も含めて、全部持ってました。

 

僕が挙げた「空の中」は、そんな有川さんの2つめの作品。

空の中 (角川文庫)

空の中 (角川文庫)

 

塩の街」「空の中」「海の底」は自衛隊三部作とも呼ばれてる。

物語に直接的な繋がりはないけれど。

名前の通り、航空自衛隊が関係してるお話。

 

有川さん自身は、自作を大人向けのライトノベルと語っています。

確かに、登場人物はリアルな人間のような言動をするし、SFの世界を現実の世界のように書き下ろしていると感じます。

 

例えば「空の中」では、高度2万メートル中にクラゲのような謎の飛行物体が登場するんですが。

その理由は特に説明されません。

怪物が存在するという前提で、まるでノンフィクションのように物語が展開していく。

そこがうまいんですよね。違和感がない。

 

ラノベだと、キャラ付けが意図的で”寒く”感じることがあるじゃないですか。

言い換えれば、言動が人間らしくない。

 

だけど、有川さんの小説ではキャラに厚みが感じられる。

現実にこんな怪物がいたら、こういう態度を取る人もいそうだな。

と、すんなり入ってくる。

 

どの本でも恋愛が描かれますが、人間の葛藤が出てくる要素の1つですよね。

そこでも大人向けのライトノベルだな、と思わせる筆力が良い。

恋愛ものは弱いので、よく泣きながら読んでました。

 

グロテスク 桐野夏生

これだけ大学1年生のときに読んだ本。

オタクを卒業するきっかけになったかもしれない一冊。

グロテスク

グロテスク

 

大学に入ってからいろいろありました。

 

そこから女性の心理をちょっと勉強してみようと思って、絶対に読まないであろう本を読もうと思ったのがきっかけ。

何でこの本を選んだの?っていうツッコミはなしで。

正直、今でも分からない。笑

 

ひとことで感想を書くと、ただただ気持ち悪い、と感じたのを覚えている。

 

女性の悪意、人の心の闇を描いた本を読んでこなかったから。

描写はあっても、そこまで生々しいものは少なかった。

それに、僕が男性作家の本ばかり読むきらいがあった。

 

有川さんは女性で、恋愛も描いているけれどもアニメに近い明るさ。

だから桐野夏生という女性が描く、生々しくグロテスクなまでの醜さ、人が持ち得る怪物的な一面。

 

そういったものが、今まで受け入れていたものに合わなくて。

拒否したくて、気持ち悪いと感じたのかもしれません。

だけど、この本を読んでからアニメは全然見なくなりましたね。

関係性は多少あったと思う。

 

あまり人に勧めるような本でもない気もするが、怖いものみたさ。

オタクを卒業したい男子高校生や大学生。笑

そんな人にはいいんじゃないかと思う。

 

疾走 重松清

この本を読んだのは、15歳のとき。

それまでも重松さんのファンだったけど、もっとも衝撃を受けた一冊。 

疾走 上 (角川文庫)

疾走 上 (角川文庫)

 

上下くっつけると顔になるんですよね。懐かしい。

疾走 下 (角川文庫)

疾走 下 (角川文庫)

 

そんな昔に読んだ本が、なぜ記憶に残ってるのか?

 

エロいから。

 

下巻とか酷いです。確かほぼエロ。

当時、純情な中学生だった僕にはインパクトが大きすぎた笑

 

真面目な方の理由を一言で書くとですね。

 

救いがないんですよね。

 

重松さんの作品を読む人は分かるかもしれない。

パンドラの箱に残された希望のように、

暗くても、どんなに苦しくても、何かしらの救いが最後には訪れる。

 

そういったところに安心感を覚えてました。 

だけど、この作品は違う。

いつもの重松さんだと思っていると裏切られる。

すごいショックを受けたのを覚えてます。

 

「救いがないことが救い」というキリスト教の原罪なんて、当時の僕は知りませんでした。

 

主人公の年齢が当時の自分と同じだったことも大きかったですね。

15歳の自分が、彼の立場になったらどうするか?

ここまで人生に立ち向かうことができるのか?

 

兄が犯罪を犯すことで、周りの環境が壊れていく。

そこで、故郷を出て東京に一人で出ていく主人公。

どこへ行っても待ち受けている現実という名の壁。

下巻の裏表紙が全てを表していると思う。

孤独、祈り、暴力、セックス、聖書、殺人――。人とつながりたい……。ただそれだけを胸に煉獄の道のりを懸命に走りつづけた少年の軌跡

主人公に感情を没入させて、共に疾走した本だった。

 

現実を「ひとり」で受け止め続けて、心の底では「ひとつ」になりたかった主人公の葛藤。

今読み直しても、熱狂できるかもしれないと思える本。

 

インパクトから疾走を紹介したけど、重松さんの本がこの手の本ばかりだとは思って欲しくない自分もいる。

「エイジ」とか「ビタミンF」とかほのぼのする本も読んでみて欲しい。

 

いろいろ挙げてみたけど、どうでしょうか。

読んでみようかなと思った本があったら嬉しいですね。